「子どもの入園を前に働き方を考えています。共働きの家庭は、今どのくらいあるのでしょうか」。そんな疑問が浮かぶことはありませんか。周りの様子が気になっても、割合の数字だけで復職の時期や勤務時間を決めるのは難しいですね。

共働きの割合を読むときは、何を全体として数えた数字なのかが大切です。夫婦の働き方を数えた統計と、女性や母の仕事の状況を数えた統計では、答えている問いが違います。ここでは三つの疑問に分けて、数字と暮らしのつながりを考えます。

Q1 入園前に気になる、共働き家庭はどのくらい?

A 共働きは多く見られる働き方ですが、割合には対象の条件が付きます。労働政策研究・研修機構の共働き世帯についての解説によると、総務省「労働力調査」の2025年結果では、夫婦ともに就業者の世帯は基本集計で1,599万世帯、詳細集計で1,587万世帯でした。夫婦ともに雇用者の世帯は、基本集計で1,363万世帯です。

この三つは、同じものを別の数字で表しているわけではありません。「就業者」と「雇用者」のどちらを数えるか、どの集計を使うかで世帯数が変わります。見出しに「共働き」とあっても、数字のそばにある対象と年を一緒に読むと整理しやすくなります。

割合の一例として、内閣府「男女共同参画白書 令和7年版」を引用した世帯数の解説記事では、妻が64歳以下の世帯を対象として、共働き世帯が1,222万世帯、専業主婦世帯が398万世帯とされています。

この二つの区分の合計に占める共働き世帯を計算すると、75.4%です。ただし、日本の全世帯や、すべての夫婦のうちの割合ではありません。先ほどの2025年の世帯数とも対象が異なるため、組み合わせて割合を出さず、それぞれの条件のまま受け止めたいですね。

ご家族のみなさんが数字を見比べるときは、「何年の数字か」「誰を数えているか」「何を全体として割っているか」の三点を並べてみてください。共働きが多いことと、自分の家庭で今すぐ働く時間を増やせることは、分けて考えられます。

Q2 同じくらいの年齢なら、働き方も似ていますか?

A 年齢区分による就業率の違いはありますが、女性の就業率は夫婦の共働き率とは別です。内閣府の男女共同参画白書 令和8年版「就業」に掲載された2024年の女性就業率は、次のとおりです。

女性の年齢区分 2024年の就業率
15~64歳 74.1%
25~44歳 81.9%

25~44歳の区分では、15~64歳全体より高い値になっています。ただし、この二つは年齢範囲が重なっています。「若い世代と上の世代を二つに分けた比較」として読むことはできません。また、女性が働いているかを表す数字なので、配偶者も働いているかを示すものではありません。

同じ年齢でも、今の勤務時間や、家族で相談したいことはそれぞれですね。統計を見て「同年代に追いつかなければ」と考えるより、希望する働き方を言葉にするきっかけとして使ってみてはいかがでしょうか。

たとえば、まず希望する帰宅時刻を書き、次に送迎や夕食の準備を誰が担えるかを並べます。そのうえで、勤務日数や働く時間を話し合う順番もあります。割合の数字だけでは見えない、家庭の一日の予定を具体的にできます。

Q3 子どもがいる家庭も、ほとんど共働きなのでしょうか?

A 子どもがいる世帯の母の「仕事あり」は80.9%ですが、そのまま共働き世帯の割合とは言えません。厚生労働省「2024年国民生活基礎調査の概況」を紹介した母の仕事の状況についての解説では、18歳未満の児童がいる世帯の母の「仕事あり」は80.9%でした。前年の77.8%から上昇しています。

翌朝の送迎に向けて子どもの持ち物を準備する家族

これは母の仕事の有無を数えた割合です。「子どもがいる夫婦の80.9%が共働き」と読み替えると、数字の意味が変わります。子育てをしながら仕事を持つ母が多いことは読み取れますが、その数字を、ご自身の復職時期を決める期限のように受け止めなくてもよいと思います。

保育園児と小学生がいるわが家では、月に一度、夫婦でお金の話をしています。わたしは、働き方を考えるときも、収入だけでなく、送迎や子どもと過ごす時間を同じ紙に書いて考えたいです。数字と予定を並べると、家族で相談したい点が具体的になりますね。

家で整理するなら、今の手取り収入と支出を書き、次に働き方を変えた場合の見込みを別の欄に記入します。保育や通勤の費用も項目として置き、まだ金額が決まっていない欄は空けておきます。教育費の見通しも合わせたい場合は、進路別の教育費と入学までに準備する月額の考え方が、話し合う項目を整理する手がかりになります。

世帯数や就業率は、社会の様子を知るための数字です。ご家庭の予定は、その数字を参考にしながら、ご家族の条件で考えていけるといいですね。次回は、復職前に保育・通勤・食事の費用をどう並べるか、家族の予定表と一緒に整理します。