「祖父母が教育費を出してくれるそうですが、まとめて受け取っても税金はかかりませんか」。そんな疑問が浮かんだら、まず分けたいのは、これから払う学費の援助なのか、将来に備えて預かるお金なのかです。教育費という名前が付いていても、受け取り方と使い方で税金の扱いが変わります。
わが家では月に1回、夫婦で「お金会議」をしています。祖父母からの援助を考えるときも、わたしなら金額の話だけでなく、学校の支払予定を一緒に並べたいと思います。
食卓で話すなら、金額より先に「何の支払いか」
国税庁の贈与税がかからない場合の説明では、祖父母などの扶養義務者から受け取る教育費は、通常必要と認められる額を、必要な都度、直接その費用に充てる場合に非課税とされています。学費、教材費、文具費などが例に挙げられています。
ここでいう「直接充てる」は、受け取ったお金を実際の教育費に使うということです。教育費名目で受け取っても、預貯金として残したり、株式や不動産の購入に回したりした部分は、この非課税扱いにはなりません。「いつか進学に使う予定だから」と数年分を先に受け取ることと、目の前の学費を払うことは分けて考えたいですね。
また、教育資金一括贈与の非課税特例による新たな拠出は、2026年3月31日で終了しています。国税庁の教育資金一括贈与の案内によると、期限までに制度を利用して拠出した資金は、既存契約が続く間、引き続き対象です。これからの援助では、必要な都度の教育費援助と、この既存契約を混同しないことが出発点になります。
入学前と通学中の費用を、予定表に並べる
家族で負担する範囲を話すには、まず年間の規模を知り、その後で支払月に分けると考えやすくなります。文部科学省の令和5年度子供の学習費調査の訂正版では、子ども1人あたりの年間学習費総額は次のとおりです。
| 学校段階 | 公立 | 私立 |
|---|---|---|
| 幼稚園 | 184,646円 | 347,338円 |
| 小学校 | 366,599円 | 1,741,516円 |
| 中学校 | 542,450円 | 1,560,359円 |
| 高校(全日制) | 596,954円 | 1,179,261円 |
2024年12月25日公表、2026年1月16日訂正版。学校教育費・給食費・学校外活動費の合計で、各家庭の実額や大学費用を示すものではありません。
この年額を、そのまま祖父母から受け取る額にするわけではありません。入学前後に払うもの、通学中に継続して払うものを学校の案内や請求書で確かめ、実際の金額と期限を書き出します。調査の平均と、わが家の支払いは別の欄に置くと整理しやすそうです。
進学先を考え始めたら、三つの順番で準備する
家族で話し合う時期は、一律の日付よりも、進学予定や学校の支払案内に合わせて決めるとよいかもしれません。準備の順番は、次のように組み立てられます。
- 進学予定を書き出す。子どもごとに進学する時期と検討中の学校種を並べ、まだ決まっていない項目は空欄にします。
- 支払予定を埋める。学校の案内が届いたら、費用の名目、金額、支払期限を記入し、祖父母に相談したい項目を選びます。
- 援助の方法を確かめる。必要な都度受け取って支払うのか、期限前に拠出した既存の一括贈与契約を使うのかを確認します。
必要な都度の援助では、請求書と受け取り・支払いの記録を一緒に保管する形も考えられます。ただし、記録さえあれば非課税になるわけではなく、通常必要な教育費に実際に充てることが条件です。進学全体の見通しも整理したい方は、教育費を時期別に考える準備の順番も話し合いの手がかりになります。
すでに教育資金の契約がある家では、残額も確認する
既存の一括贈与特例は、直系尊属からの拠出を受ける契約時に30歳未満の人が対象で、非課税上限は1人1,500万円です。学校等以外への支出は、その内数で500万円まで。2019年4月1日以後の拠出では、受け取る人の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合は対象外です。
利用中のご家庭では、支出が対象になるか、領収書等をいつまでに提出するかを、契約先の金融機関に確認します。文部科学省の教育資金一括贈与のQ&Aも、対象費用や書類の扱いを調べる手がかりです。
契約は原則30歳で終了し、未使用残額は贈与税の課税価格に算入されます。所定の届出などにより、契約が最長40歳まで続く場合もあるため、年齢と残額を早めに照らし合わせたいところです。契約中に贈与者が亡くなった場合も、相続税が生じることがあります。
家族ごとの条件をそろえて、次の確認日を決める
公立か私立か、きょうだいの進学時期が重なるか、既存契約があるかで、話し合う内容は変わります。ご家族のみなさんで「誰の、どの費用を、いつ払うか」を共有し、金額が未定なら学校の案内が届いた時点で見直す予定を置いてみてはいかがでしょうか。
次回は、入学前の出費を「必要なもの・学校によって違うもの・選べるもの」に分け、準備の順番を考えます。